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測定日誌(2021年2月6日)

佐藤です。
遅くなりましたが、2月6日(土)の測定日誌です。
今回は郵送で送られてきたペレットストーブの灰を測定させていただきました。
京都市産の杉を主にしてつくられたペレットの灰です。
測定日誌(2021年2月6日)_c0233009_07191014.jpg
これまでも灰の結果は解析が難しいものが多かったので、最初から長時間測定を行いました。

ペレットの灰(京都市の杉が主材料のペレット)
1リットル測定 63000秒 
セシウム137 13.1±3.1 検出下限値1.15Bq/kg。
セシウム134 42.2±8.4 検出下限値1.06Bq/kg。

という数値が結果として出ました。
これをどう見るかです。メールの文章で伝わるか心配ですが、私の考えを述べさせていただきます。

まず、灰なので天然核種のカリウム40が高濃度で含まれていました。
4540Bq/kgです。
そのためスペクトルが全体的に持ち上がっています。
これがセシウム134と137の濃度の数値にも影響を与えていると考えます。

そして、セシウム134のスペクトル上の位置には天然核種のビスマス214が重なっていました。
なので、セシウム134の存在を否定はできませんが、134の半減期2年ということも考慮すると、42.2Bq/kgという濃度の数値は、セシウム134の値そのものではないと考えます。

次に、セシウム137ですが、スペクトルではピークがはっきり見えませんでした。
13.1Bq/kgという濃度の数値は、カリウム40とビスマス214による影響も考えられます。
一方で、原発事故でなくても過去の核実験などの残留物として、セシウム137が存在することも、これまでの経験でわかっています
従いましてセシウム137の数値は実際のセシウム137の値より高く出ているのではないと考えます。

付け加えて言いますと、過去に測定した「灰」の測定結果が当測定所にはあります。
その結果と比較しますと、この灰は関西圏の木材の灰の結果に近いと考えます。
セシウム137の値で
福井市産の薪の灰(2018年3月測定)が25Bq/kg
長野県産ペレットの灰(2016年7月測定)が196Bq/kg
福島市の薪の灰(2017年8月測定)が1360Bq/kg
という過去のデータがあります。
福島と長野の灰は、明らかに原発事故の影響が考えられます。
一方、関西圏の灰は原発事故以前の核実験のセシウム137も含まれていると考えられます。

最後に、こういう結果が出ると「この灰は安全ですか?」と、依頼者さんに聞かれます。
私は、灰にするのは最悪の処理方法なので、「安全とは考えません」とお答えするようにしています。
灰にすることで体積が縮小し、悪いものがぎゅっと濃縮されますので。
原発事故と、それ以前の核実験による放射性セシウム137は、半減期30年ですから残っているのが1つ。
天然由来とはいえ、放射性カリウムも安全とは言えないのが1つ
そして「灰」の性質として飛散するのが1つ
だから、灰を扱うときは、「くれぐれも吸い込まないように防護してください」とお伝えしています。

以上です。


by sokutei_kyoto | 2021-03-14 07:20 | 測定日誌 | Comments(0)

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by sokutei_kyoto
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